第39回 シャーペン禁止令

小学校高学年になるとお約束の質問。
「シャーペンを使っても良いですか?」

昔、小学校の先生に言われたのは、
「シャーペンを使うと、字が固まってしまうから、先生が合格を出した人だけ使ってもいいよ」と。

未だに、「字が固まる」の意味が分からないし、自分が字を見て合格を出せるかもわかりません。

ただ、中学生でも、シャーペンを使って欲しくない生徒がいるのは、事実です。
小学生ならなおさら、シャーペンを使わせたくない児童がいるのは間違いないです。
今回は、その辺りを掘ってみたいと思います。

中学生はシャーペンを使う。

なぜだか分かりませんが、中学生のほとんどが、シャーペンを利用します。
鉛筆は、美術の授業と1年生の1学期に理科の授業でスケッチをするくらいではないでしょうか?

2学期以降は、結局、理科のスケッチもシャーペンでやります。
その理由は、中学生の筆入れには、鉛筆が入ってないので、鉛筆で描かせることはできません。
持っていない人はやらせません。とも言えないので、結局、シャーペンでやる羽目になります。
指導力がないと言われれば、そうかもしれませんが、そこにエネルギーを使う必要性を感じません。

小学校には鉛筆削りが教室にありましたが、中学校にはない教室が多いという現実もあります。
そもそもの鉛筆を使う環境がないのです。

中学生が鉛筆を使わないからこうなったのか、
それとも、こういう環境だからシャーペンを使うようになったのか。
多分、前者でしょうけど、どっち先かはわかりません。

なんで、シャーペンが嫌われるの?

結局、子どもたちにとって、これがなんです。

この年になって、初めて思ったのは、鉛筆とシャーペンでは、どちらが使いやすいか?ということ。

鉛筆は削らないければいけないという最大の弱点がありますが、
それを度外視した場合、線が引きやすい(字が書きやすい)のは、明らかに鉛筆です。

鉛筆もシャーペンも筆記用具ですから、線の引きやすさポイントになるはずです。

つまり、シャーペンを使いこなすには、鉛筆を使いこなす以上のコツが必要なんです。

鉛筆も使いこなせていないのに、シャーペンが使いこなせるはずがないのです。

試しに、木材に線を引いてみるとわかると思います。
鉛筆だと簡単に線が引けますが、シャーペンで線を引くのは、難しいです。
特に、長い線を引いてみると、より明確になります。

大工さんが、鉛筆を使うところはよく見かけますが、シャーペンを使うのは、あまり見かけません。

使いこなせない道具を使って、勉強をしても、効率が悪くなります。
使いこなせない道具を使うと、色々失敗します。
失敗すると、やり直さなければいけません。

また、使いこなせない道具は、あたりを汚します
変な線は消さないといけません。消すと、消しゴムのカスが飛び散ります。
シャーペンの芯は折れやすく、使いこなせていないと言うことは、
芯もよく折れるということです。
折れた芯は、その辺りに飛び散ります。誰が掃除するのでしょうか?

それに、シャーペンを使うときは、必ず、カチカチと音がします。
芯が折れると、芯を出さなければいけません。その度に、カチカチ音がするのです。
ハッキリ言って、騒音以外の何物でもありません。

そもそもなんでシャーペンが良いの?

そもそも、シャーペンが使いたい理由を、
鉛筆ではダメな理由を踏まえて、明確に説明できる中学生は、おそらくほとんどいません。

筆入れを忘れてくるおバカな塾生が時々います。
もちろん、塾の筆記用具を貸し出すのですが、シャーペンが貸せるとは限りません。
そういう時は、鉛筆を貸し出すのですが、なぜか、嫌がります。

シャーペンの利点は、

  • いつも決まった太さの線が引けること。
  • 削るわずらわしさがない。

の2点だと思いますが、これは、貸出の場合、あまり関係ありません。

もちろん、貸し出す鉛筆は、よく削ったとがったものです。
削るわずらわしさはないです。
しばらく使って、ちびてきて嫌がるのはわかりますが、
そうなる前に嫌がるのは、腑に落ちません。

結局、嫌がる理由は、皆と違うからで、自分が何を使いたいかではありません。

子どもにとって、人と違うことは致命的ですし、
そもそも子どもは、人の真似をしたがる動物です。


気持ちは、わかるのですが、いつまでもガキでいられても困ります。

シャーペンを使わせたくない中学生

手先の器用さは、発達段階に相関があると思います。
今の制度では、中学生は、単純に、生まれて12年たった初めての4月に中学生になって、
そこから3年たつと、卒業します。
特別な事情がない限り、全員です。

※発達段階は専門用語ですが、今回は、どのくらい心と体が成長しているかととらえて読んでください。

中学生だからと言って、最低限できることがあるわけでもありません。
発達段階が高い生徒もいれば、低い生徒もいます。

シャーペンを使いこなせる生徒もいれば、鉛筆すら使いこなせない生徒もいます。

しかし、全員が、使っている子がいるからという理由で、シャーペンを使っています。
これは、正直、異常事態だと思います。

それでも、昔は、それで良かったんです。
昔は個性など関係なく、全員一律が基本だったので。
でも、今は、個性という言葉が台頭し、個々に対応するのが当たり前の時代になりました。
本来は、発達段階に応じて、シャーペン、鉛筆を使い分けさせる教育をすべきなんです。

ちょっと話がそれました。

ですから、大半の子が鉛筆を使いこなせるようになるまで、
一律シャーペン禁止と小学校ではなっているのでしょう。

結局のところ、シャーペンが使いこなせる発達段階でもないのに、
シャーペンを使っていることが問題なのです。

それに、シャーペンを使いこなせない生徒は、大抵、勉強にもついていけていません。
まぁ、発達段階が低いわけですから、当たり前と言えば、当たり前ですが・・・

勉強についていけないと、授業中になり、シャーペンを分解して遊びます
そして、なお勉強についていけなくなります。

そういう子は、さらに、掃除もしません。(そういう傾向があるだけ。もちろん、掃除をする子も多い)
自分は、教室を汚すのに、掃除はしない。誰が、掃除をするんでしょうか?

シャーペンを使わせたくない中学生が存在することを理解して頂けたでしょうか?

最近流行の0.3mmシャーペン

ところで、最近、0.3mmのシャーペンが中高生の間で流行っています。
文具メーカーは、すっかり需要の減った0.3mmのシャーペンが売れるので、喜んでいますが、
そもそも、0.3mmのシャーペンがなんなのか、理解できていない中高生が多いです。

これまた、皆が使っているからという理由で、0.3mmのシャーペンを使っています。


0.3mmのシャーペンの替え芯

普通のシャーペンは、芯の太さが0.5mmです。
もう、何十年と、この仕様だと思います。

しかし、まれに、それよりも太いシャーペンや、細いシャーペンがあります。

それぞれに、想定された使い道があり、0.5よりも細い、
0.3のシャーペンは、製図用です。
要は、図面をかく道具です。

昔は、細い線の引ける0.3のシャーペンを主に利用して、図面を書いていましたが、
今は、コンピューターで図面を書くため、0.3のシャーペンが売れなくなりました。

それをどこで間違えたのか、中高生が、細い線が引けると言うことで、使い始めたようです。
それに合わせ、文具メーカーも、売れなくなった0.3のシャーペンの起死回生を狙い、
中高生に照準をあて、デザイン等を工夫しているというのが現状です。

本来、製図用のシャーペンですので、細い直線をひくのには適していても、
文字を書くのに適しているかは、はなはだ疑問です。

特に、芯が細いので折れやすく紙も破りやすいです。
そもそも、製図では、普通紙を使うことはなく、製図用の特別な紙を使います。

普通のシャーペンよりも、普通紙であるノートで使うには、コツが入ります。

つまり、0.3のシャーペンは、より成熟した人にしか使いこなせない代物なのです。

もちろん、0.3のシャーペンを使いこなせる人もいます。
しかし、多くの中学生の発達段階では、0.3のシャーペンが使いこなせるほど発達していません。

しかし、皆が使っているからという理由で、使っています。

もちろん、ポキポキ芯を折ります
そして、折れた芯は飛んでいきます。
誰が、掃除するんでしょうか?

前述したとおり、子どもは、皆の違っていることを嫌い、人の真似をしたがります。
つまり、皆が使っているからと使う人は、要は、子どもな人です。
子どもと言うことは、0.5のシャーペンすら使いこなせていない場合が多いです。

正直、0.3のシャーペンを使っている中学生は、要注意だと思います。

このコラムを読んでいるお父さん、お母さんは、お子さんの様子を注意深く観察し、
適切に導いてあげてください。

また、このコラムを読んでいる中高生の皆さんは、
自分が本当にシャーペンを使いこなせているか、改めて、見つめ直してください。

この記事の意味が分からない人は、
まだ、シャーペンを使いこなせるほど大人になっていませんので、使わない方が、身のためです。
特に、0.3のシャーペンは論外です。

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