第66回 千葉時代の誕生?

ニホニウムに続いて、とんでもないニュースが飛び込んできました。
地質年代に日本由来の名前がつきそうだというのです。

地質年代って?

地質年代とは、中学校の教科書的には、
地層が形成された年代を呼び、示準化石から、それがわかると書いてあります。

イマイチ、よくわからないですよね。

当塾のeラーニング地質年代を答えさせる問題は、
示準化石などをもとにして、地層が堆積した時代を区分したものを何というか
としています。苦し紛れも良いところです。

つまり、地層を元に、「江戸時代」とか、「明治時代」とか、そんな感じで、
その時代時代の名前を付けているということです。

しかも、化石を元に、つけている時代区分の名称なので、
生物がいない時代は、当然、化石がないので、地質年代を決めることはできません。
ちなみに、化石とは、教科書的には、生物の死骸や生活の痕跡(巣穴や足跡など)のことで、
当然、生物がいなければ、化石はできません。

中学生で学習する地質年代は3つで、古い方から、古生代中生代新生代です。
今は、新生代に区分されます。

それぞれの示準化石が、三葉虫アンモナイトビカリアというのは、最頻出問題です。
しっかり押さえておいて下さい。入試や実力テストでジャンジャン出題されます。

示準化石とは、その年代を代表する化石のことです。
例えば、アンモナイトや恐竜は、中生代に登場し、爆発的に繁栄し、今は絶滅しています。
つまり、中生代以外に、アンモナイトや恐竜は存在しないと考えられています。
と言うことは、地層に、アンモナイトや恐竜の化石が見つかれば、
その地層は、中生代に堆積したものだと考えることができるのです。
これが、示準化石です。

で、この地質年代は、今の教科書では2ページ。

きっと、アラサー以上の人は、記憶にないと思います。
今は、1年生の教科書ですが、20年ほど前までは、3年生の教科書に載っていました。
しかも、地学の内容なので、多くの中学校では、受験直前にザッと学習。
そして、覚える前に、入試。
その後、高校で地学が選択されることなく、復習もすることなく、今に至るはずです。

細かく分類される地質年代

中学校で習う地質年代は、こんなものですが、さらに細かく分解することができます。
例えば、ジュラ紀とか有名ですよね?どこに分類されるのでしょうか?

地質年代(正式には地質時代というみたいですが)は、次のように分類されています。

先カンブリア紀
5億4千万年前 古生代 カンブリア紀
オルドビス紀
シルル紀
デボン紀
石炭紀
ペルム紀
(二畳紀)
2億5千万年前 中生代 三畳紀
(トリアス紀)
ジュラ紀
白亜紀
6500万年前 新生代 第三紀
第四紀

節足動物が登場したのが、古生代のカンブリア紀と言われています。
節足動物は、硬い殻に覆われているため、その殻が化石として残りやすく、
たくさんの化石が発見されています。
しかし、それ以前の地球では、微生物などが主で、
化石があまり残っていないそうです。
なので、カンブリア紀以前は、地質年代を語るときは、省略されるようです。

そして、恐竜やアンモナイトが栄えたのが、中生代。
この時代に、私たちの祖先であるセキツイ動物が陸上に進出したと考えられています。

恐竜が絶滅し、ホ乳類が繁栄していたのが、新生代。現在です。

昔のことは、よくわからないのですが、最近のことは、比較的よくわかりますから、
新生代は、更に、細かく分類されています。

第三記 古第三記 暁新世
始新世
斬新世
新第三記 中新世
鮮新世
第四紀 更新世
完新世

もう、聞いたことのない用語の連発です。
正直、意味不明ですよね。


ドラえもん
新・のび太の日本誕生

人類が誕生したと考えられているのが、更新世です。
ちなみに、ドラえもんの日本誕生でのび太たちが家出したのは更新世です。
第四期更新世、ヴェルム氷期という言葉が劇中に出てきます。
氷河期なので、かなり寒かったようです。

地質年代は、化石をもとに分類したものですから、生物の変遷が、
そのまま年代の区分になります。

第四期は、人類の歴史でもあります。
したがって、理科と社会の境目が、第四紀とも言えます。


地質年代の名前のつけ方

さて、やっと、今回の話です。

今回、この地質年代(地質時代)の1つに、日本由来の名前がつきそうだというのです。


ジュラシックパーク

地質年代の名前には、その年代のモデルケースとなるような地層の
発見場所の名前がつくことが多いです。
有名なのは、ジュラシックパークで印象に残っているジュラ紀。
ジュラ紀は、フランスにあるジュラ山脈が由来になります。
ジュラ山脈に、大規模なジュラ紀の地層があり、
それがモデルケースとなる考えられたのでしょう。

他にも、ペルム紀は、ロシアのペルミという都市、
デボン紀は、イギリスのデヴォン州といったように、
モデルケースの地名が由来になっています。

一方、シルル紀、オルドビス紀などは、
モデルケースになる地域に住んでいた民族の名前が由来になっていたり、
石炭紀、白亜紀は、その地層の特徴を元につけられていたりします。

で、今回、産経新聞の報道によりますと、更新世の中期にあたる部分の名前が、
まだついていなかったそうで、そこの名前が、
千葉時代(チバニアン)となる見込みになったそうです。
のび太が行った時代の1つ前の時代になります。

もちろん、日本由来の地質年代名がつくことは初めてで、
歴史的快挙だと伝えられています。
すでに、地質年代の大部分には名前はついているため、
最初で最後のチャンスではないかと、個人的には思います。

日本が出遅れている?

日本の地形が形成されたのは、新生代に入ってからと考えられており、
しかも、日本の地形の形成には、かなりややこしいことが起こっています。
何が言いたいというと、日本の地形ができたのは最近で、
古い地層は、基本的に、日本にはないということです。
仮にあっても、すでに大規模な地形変動で破壊されていると考えられます。
もちろん、フクイサウルスのような、例外もありますが、
日本には、有名な恐竜も存在せず、古い地層がほとんどないと考えるのが妥当です。

つまり、日本の研究が出遅れているというのももちろんあるでしょうが、
そもそも、モデルにできる地層が無いのではないかと思われます。
今回は、新生代の比較的新しい地層での快挙です。非常に、興味深い内容です。

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