第6回 石灰水で遊ぼう!!

今回のテーマは、石灰水で遊ぼうです。

石灰水を作るときの発熱さえ気を付ければ、とても簡単な実験です。

石灰水は、二酸化炭素と化学反応を起こし、白くにごることは小学校で勉強します。
その性質を利用し、二酸化炭素の検出に使われます。
この内容は、高校入試でも非常によく出ます。確実に押さえておきたい内容です。

さて、今回は、この石灰水を使って遊んでみたいと思います。

石灰水を作ろう!

まずは、石灰水を作りましょう。
作り方は、非常に簡単で、材料も身近にあります。

準備物は、ペットボトル乾燥剤です。

乾燥剤には数種類ありますが、おかきや海苔によくついている石灰乾燥剤を使います。

シリカゲル乾燥剤や、脱酸素剤などと間違えないでください。
表示を見ると、ちゃんと書いてあります。
とりあえず、透明のビニールっぽい袋に入っているのは、多分違います。
白い紙の袋っぽいものに入っているものが、多分、石灰乾燥剤です。


石灰乾燥剤



シリカゲル乾燥剤


脱酸素剤

この時、準備する石灰乾燥剤は、
乾燥剤として役に立たなくなった、十分に使い古したものが望ましいです。

石灰乾燥剤が準備出来たら、まずは、石灰乾燥剤の袋をハサミ等で開けます。
もちろん、破ったり、カッターで切ったりしても問題ないのですが、
中身が飛び散らないように注意してください。

開けたら、中身を上手にペットボトルに移します。

最後に、ペットボトルに水を入れて、よく振ります。
この時、入れる水は、1度煮沸して冷やした水が良いのですが、
水道水そのままでも特に問題はありません。

振ると、白くにごるので、しばらく放置して、沈殿するのを待ちます。
この時、溶けきってしまうと、水が多すぎたことになるので、
ちょっと薄い石灰水ができてしまったかもしれません。

沈殿したら出来上がりです。
上の方の透明な水溶液が石灰水になります。
減ってきたら、水を足せばまた増えます。


(1)ペットボトルに石灰を入れる


(2)水を入れて振る


(3)しばらくすると沈殿する

注意点


水と石灰を混ぜて発熱させる調理器具

ただ、石灰を混ぜると、発熱します。
倉庫にしまってあった石灰に雨水がかかり、火災が発生するという事故も実際起きています。
昔、名探偵コナンで、石灰に水をかけて、時限発火装置をつくり、
意図的に火災を起こすトリックが登場したこともあります。

お弁当を温めるために、お弁当の下に水と石灰が仕込まれているものもあります。

とにかく、これら程度の発熱が起きる可能性があることを
十分に理解して実験を行ってください。

対策としては、まず、十分に使い切った石灰乾燥剤を使うこと。
使い切った石灰乾燥剤は、すでに空気中の水と十分に水と接しているので、
改めて水と触れても、発熱することはありません。

次に、大量の水を一気に入れること。
計算してみると、新品の石灰乾燥剤300gに水を400ml入れた場合、上昇する温度は1℃以下です。
大量の水で、石灰を冷やしてやろうという作戦です。
少量しか水を入れなかった場合、90℃以上になる可能性があるそうです。
水を入れるときは、一気にたくさん入れましょう。

そして、仮に発熱してしまっても大丈夫なように、屋外の広い場所で、
ペットボトルを地面に置いて、水を入れましょう。
広い屋外であれば、発熱して、ペットボトルが溶けても、大事にはなりません。

屋外で、水を大量に入れれば、問題ありません。

そして、もう1つ注意したいのは、石灰水は、ガラス瓶に保存しないことです。
石灰水はアルカリ性です。アルカリ性の水溶液は、ガラスを溶かします。
石灰水は、アルカリが弱いので、まず大丈夫ですが、
ガラスではなく、プラスチック製の容器で保存します。
ですので、ペットボトルが最適です。

遊んでみよう!!

石灰水が作れたら、遊んでみましょう。

石灰水の一番簡単な遊び方は、呼気を吹き込むことです。
ストローで石灰水に息を吹き込むと、二酸化炭素と反応して、白く濁ります。


(1)最初は無色透明の石灰水

(2)息を吹き込むと白くなる

(3)だんだんと白く濁る

(4)かなり白濁しています。

ちなみに、運動したすぐあとと、安静にしているときでは、石灰水の濁り方が違います。
これは、息に含まれる二酸化炭素の量によるものですが、
塾生曰く、これが面白いんだとか。

さて、ここまでは小学校でも習うのですが、
白く濁った石灰水に、さらに息を吹き込み続けると、どうなるでしょうか?


そのまま息を吹き込み続けると・・・

透明に戻る?

メカニズム

石灰水は、二酸化炭素の検出薬として、小中学校の教科書に載っていますが、
これは、中和反応によるものです。

石灰水は、前述した通り、アルカリ性
そして、二酸化炭素が水にとけた炭酸水は、酸性です。

アルカリ性の水溶液と酸性の水溶液を混ぜると、中和反応が起こります。

石灰水には多くの水が含まれているので、
そこに二酸化炭素を吹き込むと、炭酸水になります。

この石灰水と、炭酸水中和反応をおこすという訳です。
中和反応については、詳しくは、コチラをみていただくとして、
中和反応が起きると、水と塩(えん)ができます。

塩は、必ずしも、水に溶ける物質とはかぎらず、
今回のように、水にとけない物質だと、混ぜた瞬間に、突然白濁したり、沈殿します。

教科書に載っている同じような現象は、水酸化バリウムと硫酸の反応です。

石灰乾燥剤の主成分は、酸化カルシウム(CaO)ですが、
これが、水と反応して、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)となります。
この反応を空気中の水蒸気と行うため、空気中の水分を吸収します。
この性質を利用したものが、石灰乾燥剤です。

化学式で表すと、次のようになります。
CaO + H2O → Ca(OH)2

この化学反応が、発熱反応であるため、
十分水分を吸っていない石灰乾燥剤に水をつけると、高温になり危険です。

この水酸化カルシウムを水に溶かしたもの石灰水と呼んでいます。
ですから、十分に水分を吸っていなくても、水に石灰乾燥剤を溶かすと、
水酸化カルシウム水溶液ができます。

次に、この石灰水に二酸化炭素を溶かすことを考えます。

二酸化炭素は、水に溶かすと、水と反応して、炭酸と呼ばれる酸性の水溶液になります。

化学式で表すと、次のようになります。
CO2 + H2O → H2CO3

この水酸化カルシウム(Ca(OH)2)炭酸(H2CO3)が反応して、中和反応が起こります。

化学式であらわすと、次のようになります。
Ca(OH)2 + H2CO3 → CaCO3+ H2O


このときできた炭酸カルシウム(Ca(OH)2)が、
水に溶けにくい物質
であるため、白濁することになります。
ちなみに、この炭酸カルシウムは、貝殻やサンゴ、石灰石などの主成分になります。
水に溶けたら、大変なことになるのが、わかりますね。

しかし、この炭酸カルシウムは、酸性の水溶液には反応して、解けます。

さらに二酸化炭素を吹き込むと、水溶液が酸性になり、
炭酸カルシウムが、炭酸水素カルシウムに変化し、水に溶けてしまうという訳です。

化学式で表すと、次のようになります。
CaCO3+ CO2 + H2O → Ca(HCO3)2

ですから、理屈としては、石灰水に市販の炭酸水と少し混ぜると白濁し、
さらに混ぜると、無色透明になると考えられます。

石灰水を作るときの発熱さえ気を付ければ、とても簡単にできる実験です。

実験に使えそうな商品

部品は、写真をクリックすると購入できます。
この商品で実験してみたわけではないので、購入は自己責任でお願いします。

石灰乾燥剤が入っている食品 おいしく食べて、楽しく実験!!
海苔やおかきには、石灰乾燥材が使われています。
ストロー ストロー。ダイソーで売っているもので上等です。
水酸化カルシウム 乾燥剤なんてケチなことを言わずに、
水酸化カルシウムを買うという手もあります。
炭酸水 市販の炭酸水を使っての実験も面白いと思います。

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