第49回 スマホの普及と読解力

読書ネタが続きますが、しっかり読書していますか?
文章さえ読めば、それで読解力が上がると思ったのですが、疑問が湧いてきました。

前回の読解力のコラムを書いていて、読解力の低下とスマホの関係に疑問を感じました。
スマホの普及により、逆に、読解力が上がっても良いようなものですが・・・

スマホの普及で・・・

疑問なのは、インターネットの普及との関係です。

インターネットの普及で、コンピューターの中は、文字情報であふれています。
もちろん、インターネットを利用することで、
その文字情報(文章)と触れている時間が以前よりも長くなったはずです。
そうすれば、絵ばかりのマンガを読むよりも、読解力が上がるはずです。

しかも、スマホの普及で、インターネットと接する時間は、以前よりも長くなってるはずです。
さらに、ニュースなども、定期的に配信され、設定にもよりますが、勝手に届きます。

毎日、新聞と本しかなかった時代より、多くの文字情報に触れているはずです。

そもそも、塾として挙げるスマホのメリットは、わからないこと、疑問に思ったことを調べることです。
調べると、もちろん、文字や文章に触れるはずです。

つまり、普通にインターネットを活用していれば、読解力がつきそうなものです。

にも関わらず、読解力が落ちているのは、どういうことでしょうか?

スマホはもはやコミュニケーションツールではない

スマホとは、スマートフォンと書いて字のごとく、賢い電話です。
そう、電話です。

遠く離れた人と会話するための道具(ツール)です。

携帯電話の時代から、20年ほどかけ、それが、eメールを送受信するためのツール、
そして、インターネットをするツールと変化してきました。
携帯電話は、電話からコミュニケーションツールへとシフトしていきました。

しかし、スマートフォンは、自身の性能向上に伴い、さらなる展開を見せ始めました。

それが、携帯電話のパソンコン化です。PDA化と言った方が良いかもしれません。

性能向上により、以前のパソコンよりも、ハイスペックになっています。
以前はパソコンで行っていたことも、いつでもどこでもスマホですることができるようになりました。

もちろん、それは、コミュニケーションに限られた事でなく、
文書作成、HP等の更新、動画編集、写真のレタッチ等、
今までパソコンでしかできなかったことが、スマホでできるようになりました。
また、移動端末だからこそできるパソコンにはないカーナビ機能なども搭載されるようになりました。

そして、その中には、ポケモンGOやパズドラをはじめとする、ゲームも含まれます。

もう、これらの機能は、コミュニケーションのきっかけを作ることはあっても、
コミュニケーションツールではありません。

電話という話をする道具から、コミュニケーションツールへと進化した携帯電話も、
スマホの時代になり、人とコミュニケーションをとることができるマルチツールへと変化してきました。

スマホを使う=コミュニケーションをとるという方程式は、成り立たなくなってしまっています。

Lineやtwitterは文章ではない

実際、中学生がスマホでやっていることは、Lineかゲームです。
あと、twitterもよく会話に出ています。

たとえlineでも文章のやりとりをしていれば、
通信手段が電話が主だった20年前よりも文章読解力も作文力も上がる気がします。
しかし、そうなっていないのが不思議です。

Lineはともかくとして、twitterは、「つぶやき」と意訳されています。
つぶやきとは、小さい声で独り言をいうことです。
つまり、人に聞かせたり、何かを伝えることは目的ではありません。

しかも、文字数はたった140文字以内です。

こんにちは。ScienceLab冨田塾です。
今日はいい天気ですね。こんないい天気の日は、外に出ないともったいないです。
さぁ、フィールドワークに出かけましょう。
外で出会ったネコと友達になったり、綺麗な花を見つけたり、知らなかったお店を見つけたり。
きっと何か新しい発見があるはずです。

140文字は、たったこれだけ。

これでは、書いても読んでも文章力の向上はあまり期待できません。

しかも、文章とは、複数の文を連ねて何かを表現したものです。
140文字では文を連ねるとしても、限界がありますし、「つぶやき」は、
そもそも何かを表現しているとは言い難いです。

Lineも同じで、短文でのやりとりが基本です。

また、相手に何かを伝えるとしても、上手く伝わらなければ、「どういうこと?」と即聞き返されるので、
いかに1回で要件を伝えるかなんて工夫は必要ありません。
失敗ありきで、工夫なく短文でやり取りするので、こちらも文章とは言い難いのが事実です。

動画や写真の普及が表現力を乏しくさせる?

そして、輪をかけて読解力を下げているもう1つの原因は、
動画と写真の普及だと考えられます。
動画や写真は、文字に比べて、より直感的に情報を伝えることができます。

つまり、細かい描写など必要なく、「写真のように」と書けば良いことになります。

きれいな夕焼けを見て、「この感動をみんなに」と思っても、
写真を1枚とって、アップすれば、それでOKです。
これでは、文章を書くことになりません。

その時の夕焼けの様子や、気持ちをきちんと文字にして残すというのも、1つの文章力です。

やりたいことは同じでも、写真や動画が普及する前は、
夕焼けを文字で表現するしかありませんでした。

その他、絵文字やスタンプの普及も、文章力の低下に拍車をかけていることでしょう。
より心情を的確に表現するには、良く考えられたツールですが、
より簡単に表現できてしまうため、文章表現を工夫しなくなります。

「ありがとう」「ごめんなさい」「了解」こんな文字列も、
より気持ちを表現するためには、工夫が必要ですが、
スタンプで終わりでは、ちょっと悲しいですよね。

せめて、マンガを読もう・・・

つまり、スマホを触るのも良いですが、ちゃんとした文章を読むことこそが、
文章読解力を上げるうえで、とても重要になってきます。
きちんと出版されている本を読むことは大事です。

せめて、マンガを読みましょう。

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